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2025/02/03 17:55
ご訪問ありがとうございます。
野良道具製作所の代表兼、デザイナー兼、営業兼、店舗スタッフの里崎です。
「自分が欲しいモノを作る」
これも今やよく聞くフレーズになりましたが、私も例に漏れず自分の好きなモノ・欲しいモノを作り続けてきて、気づけば15年が経過しようとしています。
最初は、魚突きという遊びに使う「銛」を自作するところからでした。そもそも、銛自体が当時どこにも売ってなかったので自分で作るしかなかったのですが。

その当時、2000年代初頭。
まだSNSなんてなく(あっても浸透はしてなかったはず)、ようやくブログがちょっと流行ってきたかな?という時代。
情報が少ない中、先達が作ったHPやブログをむさぼるように読み漁り、あれこれ試行錯誤して銛を作っては毎週のように海に通う日々。
その中で、潜り仲間からその自作手銛を売ってくれと頼まれるようになり、簡素なネットショップをはじめてみたのが2010年ごろのことです。その後テレビの影響や、前述のブログが本格的にブームになったのも追い風となり、魚突きという遊びも盛り上がっていきました。
自分の身ひとつ、それもボンベもない素潜りで「ひと息」で魚と勝負するという、シンプルで根源的な狩りである魚突きには計り知れない魅力があります。もちろん私もそれに取りつかれた人間の一人です。
その魚突きへの情熱と、元々ものづくりが好きだったこと、突き詰めて考えないと気が済まない性分も相まって、私が作る銛はそれなりの支持をいただきまして、おかげさまでショップもたくさんの方からご愛顧をいただけるようになっていきました。
しかし、今考えてみれば当たり前のことなのですが、そもそも自然は限りある資源です。自然を相手にする遊びな以上、その「限りある資源」とどう向き合うかという問題、どうバランスを取るかという課題があります。特にSNSが浸透した現代では、魚が多いポイントは容易に共有され、一気に乱獲が進み資源をすり減らすという問題が当時から起きていました。
他にも、密漁問題、航路の邪魔をして漁業者に迷惑をかける等のトラブル、ダイビング業者とのバッティング等、地域によって抱える問題がそれぞれ違うという点も非常に難しいポイントで。
私も弱小ながらその業界で商売をやっている人間として、その現状を何とか変えたく、業界団体を設立しようとしてみたり、我々遊漁者の側できちんとしたルールを策定し、それをベースに地域の方や漁業協同組合さんと連携を取ろうと試みたり様々なあがきをしてきました。
ただ結論としては、それらの動きが実を結ぶことはありませんでした。これは完全に私の力不足です。
まあそもそも自分自身がさんざん魚を獲ってきたのに、他人に対して「あまりたくさん魚を突くな」とは口が裂けても言えないよねというのもあるし、私みたいに業界側にいる人間がルールを策定しようとしたら「あいつは利権を狙ってる」と思われても仕方がないよなとも思うんです。もちろん自分自身そんなつもりは全くないのは事実なんですが、逆に利権を狙っていたならもっと必死で業界団体設立に向けて動いていたかもしれません。笑
そんな冗談はさておき、そんな自分自身の力不足や、何より自分が好きだった魚突きという遊びを純粋に楽しめなくなってきたのもあり、一旦、上の写真のクエを区切りとして、一度魚突きから離れることにしました。
キャンプをはじめる
もともと、魚突きを頻繁にやっていた時にもよく海辺でキャンプはしていました。
そういうシーンで「こういうのが欲しいんだよな」という焚き火台のイメージは何となく頭の中にあったのですが、これを機に形にしてみようと思い、試作に試作を重ねて完成したのが「野良ストーブ」です。

野良ストーブが完成してみて思ったのが、「やっぱり自分はひとりが好きなんだな」ということ。
野良ストーブなんかは特に、ひとりでこじんまり焚き火をするのに特化した機能と構造になってます。
ラフに扱えて、暗い場所でも容易に組み立てができて、そのへんに落ちてる流木など少ない薪でもガツンと火力が出せて、それでいて調理にも使いやすいもの。
登山をやるわけではないので、そこまで軽量じゃなくてもいい。むしろ軽量化のために強度が犠牲になる方が怖い。
ソロだと頼れるのは本当に道具しかないので、焚き火台が壊れて使えないとなるとメシも食えないし暖も取れないですから。
「野良」という名前
何となくなんですが、それって「野良」だよな、と思って。笑
単独行動、頑丈さ。そのイメージもそうだし、「野を良く」というイメージが自分の中でしっくりきたんですね。
そして面白かった&有難かったのが、そういうスタンスでものづくりをしていたら、なぜか同じような価値観の(=野良な)人たちが集まってくれるようになってきたこと。

もちろんみなさんスタイルはバラバラ。
登山をする人だっているし、ULな人だっている。なんならキャンプはあんまりしないって人もいる。それでも全然普通に話せるし、楽しく交流ができてしまうこの心地よさ。
これを知ったとき、「あ、この楽しさ伝えていきたいな」と思ったんですよね。
道具を売るとかそういうことが本質なんじゃなくて、こういう自由さ、心地よさ、これこそがアウトドアの良さなんじゃないかなって。
今の時代に必要なもの
「考えごと」が多すぎる今の世の中で、「何も考えなくていい」のって自然の中ぐらいじゃないかと思うんです。
でも、最近はそれを忘れてしまったのか、あれだけ大自然に抱かれて、あれだけマイナスイオンを浴びてるはずなのに、ネット上ではギスギスとしたケンカばかり、なんのこっちゃようわからんなって笑
だから一旦そういうのから離れて、野良になっちゃえというか。
自分と、自然だけ。
それだけ。
そこに決まったスタイルは無いし、勝ち負けもない。当然競争もない。
本来はそのぐらいシンプルなはずで。
焚き火もそう。海に潜るのだって、山に登るのだって同じ。
自分と、自然。その間に道具があって、それを使ってどう自然と向き合っていくか。
別に過酷でなくたっていい。便利で快適でも全然いい。
もともと自然は過酷なものだし、それに立ち向かうために道具がある。
そこは同じだし、あとは程度問題に過ぎないですから。
代表略歴
里崎 亮
株式会社ノラクリエイト代表取締役
野良道具製作所代表/プロダクトデザイナー
広島県福山市出身。以来ずっと広島育ち。
幼少の頃より外遊びとものづくりが好き。LEGOを極めたと自負している。
2010年、魚突き用品を製作販売するショップ「JACKKNIFE」をオープン。オリジナルの手銛を一人でコツコツ製作。
2018年、自分が海で使うために作り始めた小型焚き火台「野良ストーブ」が最終形に至ったのをきっかけに「野良道具製作所」を起ち上げる。
その後は長年培ったアウトドア経験やものづくりの経験を、防災・福祉の分野に活かすため新たな活動「Outdoor Welfare」をスタート。
